クレッシェンド
楽譜で使う記号に、クレッシェンドというものがあります。音楽の授業では「だんだん大きく」と習いますね。
「<」こんな形の横長のものや、cresc.と文字で書いてあるものもあります。
「<」のような図形は長かったり短かったり場所によって違っていて、それぞれその記号が書いてある部分でだんだん大きくしていきます。
でも長くても2、3小節ならいいですが、中には6小節とか12小節、あるいは40小節もかけて音量を上げていく、そんな時にはその開始地点にcresc.と書いてあり、次に出てくる強弱記号「f(フォルテ)」や「ff(フォルティシモ)」をゴール地点として考えます。これならじっくり時間をかけて盛り上がっていきたい時も、楽譜上に何段も長い線を描き続けずに済みます。
ディミヌエンド(だんだん小さく)の時も同様に、「>」こんな形で書いたり、dim.と文字で書いて表します。
さて、じゃあ実際に演奏するとき、cresc.が目に入ってきたらどう演奏するでしょう?
吹奏楽やピアノのレッスンを受けているみなさん、どうですか?
そりゃだんだん大きくすればいいじゃん、
確かにそうなんですが、どう大きくしていくか、その場面によっていろいろ変わるのが「歌い方」というものです。
例えば4つの4分音符の下に「<」こんなのが書いてあったら話は単純、1つずつ大きくしていって目指す音量にたどり着けばいいですね、いや、そう単純ではありません。
ある場面では効果的なクレッシェンドに聴こえるように、最初の2つはちょっとだけ、あとの2拍でグワっと上げた方がいい時もあるし、長いcresc.では、始めにグッと上げてクレッシェンドが始まったことを見せておいて、最後にまたグワっと上げる余力を残しながら長い時間をかけて音量を上げていく。。。なんて作戦を考えたりします。
だから、場所によっては「<」こんな2本の直線をつなげたような形でなく、最後だけグッと広げてみたり自分でイメージに合うように線を追加で書き込むこともあります。
頭の中ではもっと自由に曲線を描いてイメージします。そう、数学の教科書に載っている関数のように。。
みなさんはどんなグラフを勉強しましたか?
比例や1次関数の直線、反比例の双曲線、放物線、高校では円や楕円、三角関数に指数関数、微分ができるようになるとさらにいろいろ、名前のついていないような曲線は無限にあるでしょうね。
楽譜に線を書いて表現するのは難しいですが、目標の場所までつながる曲線を頭の中でイメージして、効果的に曲を盛り上げるクレッシェンドや、うまくフレーズをおさめるディミヌエンドを表現しやすくなります。
コロナ禍の今は、毎日の感染者数をグラフにしたものをよく目にしますよね。
数字が並んでいるよりも増加や減少の変化の様子がよく分かります。
関数の問題を解くとき、式を作ったり代入して値を求めたり、変化の割合や面積、ほとんどの作業は計算です。でもグラフ上の線の動きと繋げて考えると、求め方に気づいたり、ミスを見つけることができたり、より理解できた!と気づけると思います。
言葉と数式とグラフの線、それに音符も、つながってくると面白いですよ。
Hiroshi Kumagai♬
得意技:1度に10の解法を脳内で整理しながら一人ひとりの質問に対応する個別指導
好きな食べ物:中華料理
趣味:チェロ
好きな言葉:初心忘るべからず