音楽の計算問題
音楽に関する知識をまとめたものに、楽典というものがあります。
もし音楽大学を受験しよう!と思った場合、大学ですから必要な学科の試験もありますが
、それに加えて専門が楽器ならその楽器とピアノの実技、演奏を聴いて譜面に書く試験、そして楽典などの音楽理論の筆記試験などがあります。
ここで紹介しようと思ったのは、音楽用語や和声、音階といった、譜面を読むための知識に加えて、計算問題もあったからです。
譜面に記されたテンポの速さと小節数から、曲の演奏時間を計算で求める問題です。
実際に演奏する前にそんな計算するくらいなら演奏して時間を測ればいいようなものですが。。。
例えば、CMの曲や、映画やドラマのBGMなどを作る場合、このテンポなら何小節の曲にまとめれば決まった時間におさまるかな?なんて使い方はあるでしょうか。
作曲家さんに聞いたことはありませんが。。
さて、音楽の知識を問われる試験の問題ですから、計算を始める前に第一の難題が立ちはだかります。
楽譜には繰り返し記号、つまり繰り返し演奏する部分の前後につけて反復することを表す記号、よく見るものでは、音楽の教科書に載っている歌でも1番を歌って続けて2番を歌う、という場所につけてあった記号、見覚えありますよね。あれは繰り返し記号といいます。1カッコ、2カッコがついていることも。
でもそれだけでなく、他にダルセーニョやダカーポ、コーダ、ビスといったさまざまな反復記号があります。
今はそれらの説明ははぶきますが、楽典の問題では、まずその反復記号を読み解いて最初から最後まで正しい順番で演奏すると、全部で何小節あるかを数えます。
楽譜の最初に、例えば
(4分音符)=72
と書いてあれば、この曲のテンポは、1分間に4部音符が72個入るくらいの速さ、ということになります。
数字が大きくなれば、テンポは速くなるわけです。
さて、やっと問題です。
4分の4拍子で(4分音符)=72で138小節ある曲の演奏時間は何分何秒でしょう?
ここからは算数の問題です。
4分の4拍子とは、1小節に4分音符が4つ、138小節では138×4=552つの4分音符があることになります。
4分音符72こで1分ですから、
552÷72=7あまり48
つまり7分と、あまりの48この4分音符は、
60(秒)÷72×48=40となり、
答えは7分40秒となります。
あまりの部分は別な考え方もできます。
4分音符が72こで1分ですから、
72こで60秒
36こで30秒
12こで10秒
そう考えると、7あまり48のあとは、
48=12×4と考えれば、48この4分音符は10秒が4つ分となりますね。
また、
1分で72この4分音符から逆に、
72÷4=18
18小節で1分かかる、と考えることもできます。
138÷18=7あまり12
あまった12小節は。。
18小節で60秒
9小節で30秒
3小節で10秒
と考えれば、
12小節は40秒になります。
いかがでしたか?
実際の演奏、クラシックでは特に、絶えずテンポは変化します。
テンポの変化で表情を出すこともあれば、微妙に速めたり緩めたり、あるいは間を取ったりすることで自然に聴こえることもあるからです。
その日の雰囲気やホールの響きで、譜面の指示とは違う速さになることも多いので、実際の演奏時間はその日で変わります。
音楽家にとって大事なスキルは計算よりも繰り返し記号の正しい順番を判断することですが、計算でつまずかないよう、算数は今のうちにしっかり勉強しておいてくださいね。
Hiroshi Kumagai♬
得意技:1度に10の解法を脳内で整理しながら一人ひとりの質問に対応する個別指導
好きな食べ物:中華料理
趣味:チェロ
好きな言葉:初心忘るべからず